@日中

 #6 悠の店/etrange sel(ゆうのみせ/エトランジュ・セル)

「キャー、悠さーん!!」

「突然何!?」

「ファンの女の子になりきってみた!」

「何のために!?しかもがっちり裏声で!?」

「というわけで、ここは【etrange sel(エトランジュ・セル)】。
 ケーキ屋のイケメンアイドル、狼坂の店だな!」

「狼坂さんの家族で経営しているお店なんだよね」

「そう。しかし、狼坂の甘いイケメンオーラで女性客への人気が
 うなぎ登りだ」

「すごい…今日も女の子が一杯で、ショーケースが全然見えない…!」

「お、狼坂が顔を出したぞ!ファンの子達に手を振ってる!」

「うわああ、黄色い歓声が店の外まで…!凄すぎる…!!」

「『ヘイ、僕の可愛い子猫ちゃん達!
  ケーキを食べて、僕の虜になっちゃいな!』」

「そして勝手に胡散臭いアテレコを!」



「というわけで、ここはもちろん狼坂に会える場所になるわけだが…」

「この女の子の波を突き進んでいかなきゃいけないわけよね…」

「嫉妬という不可視の攻撃をかいくぐる、まさしく死地への進撃だな…」

「しかも、万が一狼坂さんに辿り着けても…そこで会話でも
 しようものなら…」

「その場にいる全女性客の妬みが…全身に、突き刺さるッ…!!」

「うわあああ!怖い、怖いよ…無理だよ…!!」

「くっ、一度来店した時のトラウマか…!すぐにここを離れるぞ!
 安心しろ、狼坂に会える場所は…もう一か所ある…!!」








  A夜